機体・武装

機体の設計においては、軍用機黎明期に外国から技師を招聘して技術を習得した結果、外国機の物まねから日本独自の設計思想に基づく機体の設計ができるようになり、欧米の機体と比較しても遜色ない設計ができるようになった。特に零戦に代表される軽量化の思想は現代の航空機設計に通じるものがあり、日本機の特色とも言えよう。

機体の設計に較べて武装、特に機銃に関しては日本独自のものを作ることができなかった。その一因として、陸海軍で航空機銃を別々に開発をしていたため、人も資源も集中できなかったことが上げられるだろう。

キャノピー(風防)

P51の風防

零戦の風防

コックピット(操縦席)を覆うのがキャノピー(風防)である。飛行機に使用されるキャノピーの素材は、軽くて、衝撃に強いアクリル樹脂系の有機ガラスが使用された。当時の日本は高分子化学分野があまり発達してなく、透明度が高く、ひずみの少ない大きな1枚ものの有機ガラスを製造できなかった。現在では、カメラやメガネのレンズは世界トップクラスの品質を誇っているが、当時の低い技術力は想像できない。写真はP51Dマスタング(左)と零戦であるが、P51Dのきれいな1枚成形の有機ガラスと零戦のガラス枠がいっぱいあるキャノピーを見比べると差は歴然である。

エンテ型飛行機

震電

エンジンを牽引式(トラクター)に配置する(機首に配置する)と操縦席より後ろの胴体は水平尾翼、垂直尾翼を支えるためだけに存在する。空気という流体と接しているのでそこに抵抗が生じる。できるだけ抵抗を少なくするには小さい機体にしなければならないが、どうしても装備しなければならないものもあるのでそこには工夫が必要となる。そこで考え出されたのがエンテ(鴨)型飛行機である。日本海軍が開発した震電は、機体後部にあった水平尾翼を胴体先端近くに移し、水平尾翼も揚力を生む翼型にしたことで、失速しにくくなりかつ失速からの回復も容易であるとの好結果を得た。震電はエンジンを推進式(プッシャー)に配置したが、エンテ型飛行機は必ずしも推進式とは限らない。フォッケウルフが開発したFw19はエンテ型で2つのエンジンは主翼に牽引式で配置されている。

エンテ型の利点は、先に述べた失速特性がよいことと機首がクリアなので武器を機軸近辺に配置できるため射撃の命中精度が高いことである。さらに胴体に当たる部分を必要最低限の容積にできるため機体をコンパクトにすることができ、また機首付近に付く小翼(カナード翼)も揚力を発生するので主翼面積を小さくすることができる。

無尾翼機

無尾翼機、全翼機

一般的には水平尾翼を持たない機体を無尾翼機という。水平尾翼の役割は縦の安定を保つことと縦の運動(機首の上げ下げ)を司ることである。と同時に抵抗にもなっているので、これを無くして別のシステムで縦安定に関する仕事をさせることができれば抵抗の少ない飛行機を作ることができる。その結果、主翼に水平尾翼の働きを移したのが無尾翼機である。水平尾翼の機能を主翼に移すと言うことは、機首の上げ下げを行うためのモーメントが必要なことから必然的に後退翼とならざるを得ない。メッサーシュミットMe162コメートやそのコピー版である秋水(写真上)はまさに後退翼となっている。

無尾翼機を突き詰めていくと、もうひとつの尾翼である垂直尾翼の機能も主翼へ移せばさらに抵抗が減らされ空力的に優れた機体ができると考えられたのが全翼機である。全翼機には、胴体や尾翼で発生する摩擦抵抗や胴体と主翼の間で起こる干渉抵抗が無くなり、尾翼や胴体の構造が無くなるので軽量化できるなどの利点がある。反面、縦と横の運動を飛行中常に調整しなければならないために、当時の技術では実現するのが困難でコンピュータ制御システム(フライ・バイ・ワイヤ)の出現を待たなければならなかった。

与圧式コクピット

高空へ上がると空気が薄くなり馬力低下などエンジンへの影響が大きいが、人間にとっても空気が薄くなることは生命の危険に繋がる大問題である。現代のジェット旅客機は客室、操縦室内の気圧を健康に問題のないところまで与圧して地上にいるときとほとんど変わりなく過ごせるようになっているが、大戦当時の機体、特に小型の戦闘機は重量がかさばるのと被弾したときのことを考えて与圧コクピットを持ったものはあまり実用化されなかった。薄い酸素量と寒さへの対処は、酸素ボンベと電熱服だった。

機銃、機関砲

日本陸軍では7.7mmを機関銃、12.7mm以上を機関砲と称した。この違いは、炸裂弾(弾丸の中に炸薬が充填されていて飛行機に命中すると炸裂する弾丸)が使用できる銃が機関砲でそうでないのが機関銃ということである。また、日本海軍では40mmまでを機銃と呼びそれ以上を機関砲と呼んでいた。もちろん海軍でも炸裂弾を使用していたが使用できる弾丸の種類で呼び名を変えていたわけではない。

日本陸軍で使用された主要機銃、機関砲は八九式固定機関銃(7.7mm)、ホ103(12.7mm)、ホ5(20mm)などがあり、日本海軍で使用された主要機銃は九七式固定機銃(7.7mm)、三式固定機銃(13.2mm)、九九式20mm機銃であるが、ほとんどの機銃、機関砲は外国製品の模倣あるいはコピーであった。また、弾薬の種類として、通常弾、徹甲弾、曳跟弾、焼夷弾などがありベルト給弾の場合は順番に弾帯へ組まれていた。他の兵器や工業部品と同様に弾丸についても同じ口径であっても陸軍、海軍それぞれに開発、生産していて互換性がなかった。

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