三菱製エンジン

三菱重工業株式会社名古屋航空機製作所は元々三菱内燃機製造株式会として発足し、発動機の製造メーカーだったものを機体も製造する航空機製造の草分け的メーカーとなった。

ちなみに、表中の形式に表記されている「空冷・複・星・14」は、それぞれ、エンジンの冷却方式、単列か複列或いは4列、シリンダーの配置、気筒数を表す。

ハ26、瑞星

統一名称ハ31-11ハ31-12ハ31-13ハ31-14ハ31-15ハ31-21
陸軍ハ番号ハ26-Ⅰハ26-Ⅱハ102
陸軍制式名99式900馬力1型99式900馬力2型
海軍記号MK2I
海軍通称瑞星11瑞星12瑞星13瑞星14瑞星15瑞星21
型式空冷・複・
星・14
空冷・複・
星・14
空冷・複・
星・14
空冷・複・
星・14
空冷・複・
星・14
空冷・複・
星・14
筒径×行程140×130140×130140×130140×130140×130140×130
容積リットル28.0228.0228.0228.0228.0228.02
圧縮比777777
減速比0.6880.6880.6880.6880.6880.625
離昇馬力hp9408501,0809409401,080
回転数2,6502,5402,7002,6502,6502,700
公称馬力hp9509259509509501,055
高度m2,3001,8006,0002,3002,3002,800
全長mm1,3921,3921,3921,3921,3921,460
全幅mm1,1181,1181,1181,1181,1181,118
全高mm1,1181,1181,1181,1181,1181,118
重量kg542542540526526540
備考

零式艦上戦闘機の試作機には、最初瑞星エンジンが搭載された。馬力の向上が期待できる金星エンジンも候補に挙がったが九六艦戦との差があまり大きくなると海軍が受け入れないおそれがあり、あえて小さい瑞星を選んだ。

ハ101、ハ111、火星その1

統一名称ハ32-11ハ32-12ハ32-13ハ32-14ハ32-21
陸軍ハ番号ハ101
陸軍制式名100式1450馬力
海軍記号MK4BMK4CMK4DMK4PMK4R
海軍通称火星11火星12火星13火星14火星21
型式空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14
筒径×行程150×170150×170150×170150×170150×170
容積リットル42.0542.0542.0542.0542.05
圧縮比6.56.56.56.56.5
減速比0.6840.50.6840.6250.54
離昇馬力hp1,5301,5301,4601,4601,850
回転数2,4502,4502,4502,4502,600
公称馬力hp1,3801,3801,3001,3001,540
高度m4,0004,0006,0006,0005,500
全長mm1,3921,3921,3921,3921,392
全幅mm1,3401,3401,3401,3401,340
全高mm1,3401,3401,3401,3401,340
重量kg725740770800780
備考延長軸二重反転水噴射

ハ101、ハ111、火星その2

統一名称ハ32-23ハ32-24ハ32-25ハ32-26
陸軍ハ番号ハ111
陸軍制式名
海軍記号MK4RMK4S
海軍通称火星23火星24火星25火星26
型式空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14
筒径×行程150×170150×170150×170150×170
容積リットル42.0542.0542.0542.05
圧縮比6.56.56.56.5
減速比0.50.6250.6250.625
離昇馬力hp1,8201,8501,8501,800
回転数2,6002,6002,6002,600
公称馬力hp1,5201,5401,5401,810
高度m4,1005,5005,5007,200
全長mm1,3921,3921,3921,392
全幅mm1,3401,3401,3401,340
全高mm1,3401,3401,3401,340
重量kg860800760760
備考燃料噴射、延長軸燃料噴射燃料噴射

火星はもともと爆撃用に開発されたエンジンだが、局地戦闘機「雷電」に搭載されたことで様々な型式が開発された。最初は1,500馬力程度で設計された火星も最終的には1,800馬力を超えるエンジンに成長した。

ハ112、金星

統一名称ハ33-41ハ33-42ハ33-51ハ33-54ハ33-61ハ33-62
陸軍ハ番号ハ112-Ⅰハ112-Ⅱ
陸軍制式名1式1300馬力4式1500馬力
海軍記号MK8AMK8NMK8P
海軍通称金星41金星42金星51金星54金星61金星62ル
型式空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14空冷・複・星・14
筒径×行程140×150140×150140×150140×150140×150140×150
容積リットル32.3432.3432.3432.3432.3432.34
圧縮比777777
減速比0.70.70.6330.6330.6330.633
離昇馬力hp1,1001,1001,3001,3001,5001,500
回転数2,5002,5002,6002,6002,6002,600
公称1速hp9909901,2001,2001,3501,350
高度m2,0002,0003,0003,0002,0002,100
公称2速hp1,1001,1001,2501,370
高度m6,2006,2006,0007,700
全長mm1,6461,6461,6461,6461,6461,646
全幅mm1,2181,2181,2181,2181,2181,218
全高mm1,2181,2181,2181,2181,2181,218
重量kg560560642642642675
備考排気タービン

零式艦上戦闘機の最終型である54型丙に搭載される予定(試作機2機製作で終戦)だった金星62型は素性の良いエンジンで、陸軍の五式戦闘機に搭載されて非凡な空戦性能を示した。

ハ42

統一名称ハ42-11ハ42-21ハ42-31ハ42-41
陸軍ハ番号ハ104ハ214ルハ214フ
陸軍制式名4式1900馬力
海軍記号MK6AMK10CMK10AMK10B
海軍通称
型式空冷・複・星・18空冷・複・星・18空冷・複・星・18空冷・複・星・18
筒径×行程150×170150×170150×170150×170
容積リットル54.154.154.154.1
圧縮比6.76.76.7
減速比0.50.587
離昇馬力hp1,9002,5002,3002,400
回転数2,4502,8002,6002,600
公称1速hp1,8102,3002,130
高度m1,7002,0001,600
公称2速hp1,6102,0001,750
高度m5,4006,4008,300
全長mm1,8182,130
全幅mm1,3721,340
全高mm1,3721,340
重量kg1,280
備考排気タービンフルカン継手

火星を18気筒化したものがこのハ42である。火星がもともと爆撃機用エンジンとして開発されたことから、このハ42も陸軍の四式重爆撃機「飛龍」に搭載された。ハ42-21以降は試作のみである。

ハ43

統一名称ハ43-01ハ43-11ハ43-21ハ43-41
陸軍ハ番号ハ211-Ⅰハ211-Ⅰルハ211-Ⅱ
陸軍制式名
海軍記号MK9AMK9AMK9BMK9D
海軍通称
型式空冷・複・星・18空冷・複・星・18空冷・複・星・18空冷・複・星・18
筒径×行程140×150140×150140×150140×150
容積リットル41.5541.5541.5541.55
圧縮比7
減速比0.472
離昇馬力hp2,2002,2002,030
回転数2,9002,9002,900
公称1速hp2,0201,9301,850
高度m1,1005,0002,000
公称2速hp1,8001,7201,600
高度m5,0009,5008,400
全長mm
全幅mm1,2301,2301,2301,230
全高mm1,2301,2301,2301,230
重量kg960
備考排気タービン推進式・フルカン継手

烈風開発時、このハ43とハ45(中島製、誉)のどちらを搭載エンジンにするかで三菱と海軍で意見が分かれ、結局他社である中島製のハ45に決定したいきさつがある。ハ45を搭載した烈風が所定の性能を出せずにいたためハ43に換装してテストをしたい旨海軍に申し入れたがなかなか許可が下りず、烈風改として局地戦闘機版としてならということでやっと搭載、試験飛行ができた。MK9Dは震電搭載エンジンである。

ハ50、ハ53

統一名称ハ50-01ハ53-01
陸軍ハ番号ハ50ハ118
陸軍制式名
海軍記号MK11A
海軍通称
型式空冷・複・星・22空冷・4列・星・28
筒径×行程150×170140×160
容積リットル66.0668.93
圧縮比6.7
減速比0.442
離昇馬力hp3,1003,000
回転数2,600
公称1速hp2,7002,200
高度m1,5006,000
公称2速hp2,240
高度m10,000
全長mm2,331
全幅mm1,500
全高mm1,500
重量kg1,540
備考排気タービン