海軍航空母艦

プリンス・オブ・ウェールズ

海軍の航空機と切っても切れない艦船は航空母艦である。第2次大戦が始まるまで世界の列強は競って戦艦を建造していた。海上における戦闘は戦艦の数と質によって決すると信じて疑わない大艦巨砲主義が世界の海軍を支配していたが、日本海軍の機動部隊による真珠湾攻撃によって建造すべきは戦艦でなく航空母艦であるとの認識を植え付けた。いかに重装甲を誇る戦艦といえども航空機による攻撃のまえでは無力な艦であることは、マレー沖海戦(イギリスが当時誇っていた新鋭艦の「プリンス・オブ・ウェールズ」と「レパルス」を日本海軍の九六陸攻と一式陸攻の雷爆撃で撃沈してしまった。)において再認識させられることとなる。

翔鶴

日本海軍航空母艦の構造的な特徴は、飛行甲板下にある格納庫が防御隔壁で覆われている「クローズド・ハンガー」である。これは、空母の運用が定まってなかった時代、戦艦を中心とする艦隊に付随して海上戦闘を行う場合に空母が敵艦に遭遇する可能性があるとして、敵巡洋艦の20.3cm砲弾に対して舷側防御が必要だと考えると船体の防御甲鈑をそのまま立ち上げて格納庫の構造物としたほうが重量軽減に繋がると考えていた節がある。

イギリスの空母も基本的にはクローズド・ハンガー(終戦間近に完成した艦はアメリカの戦訓を取り入れてオープン・ハンガーを取り入れている。)であったが、アメリカは伝統的にオープン・ハンガーを採用している。オープン・ハンガーの特長は、格納庫の側壁が波よけ程度の強度しかないので、爆弾が飛行甲板を貫通して格納庫甲板で爆発してもその爆風は側壁を破って外側に抜けてしまい飛行甲板に大きな損傷は起きないことと、格納庫が広く使えるため搭載機数を増やすことができることである。事実、アメリカの空母は飛行甲板と格納庫の天井との間にギャラリーデッキを設け兵員の居住スペースや各種倉庫とし、格納庫を最大限利用できるようにしたため日本のほぼ同じ排水量の空母より多くの航空機を搭載することができた。

日本の空母を分類すると、制式空母と改造空母という分け方ができる。竣工したものだけを見てみると
  1. 制式空母
    • 大型空母:赤城、加賀、翔鶴、瑞鶴、大鳳、信濃
    • 中型空母:蒼龍、飛龍、雲龍、天城、葛城
    • 小型空母:鳳翔、龍驤
  2. 改造空母
    • 軍艦改造空母:龍鳳(潜水母艦大鯨)、祥鳳(潜水母艦剣崎)、瑞鳳(潜水母艦高崎)、千歳(水上機母艦)、千代田(水上機母艦)
    • 商船改造空母:飛鷹(出雲丸)、隼鷹(橿原丸)、大鷹(春日丸)、雲鷹(八幡丸)、冲鷹(新田丸)、神鷹(シャルンホルスト)、海鷹(あるぜんちな丸)

ワシントン軍縮会議で赤城(巡洋戦艦として起工)は空母に転用することが決定され、加賀(長門型3番艦として起工)は廃棄が決まったが、関東大震災で赤城と共に空母への転用が決まっていた天城が船台上で破壊されたため、急遽空母への転用が決まった。また、信濃は大和型3番艦として建造途中での設計変更によって生まれた空母なのでいずれも制式空母に分類している。

海軍航空母艦一覧

艦名基準排水量(英トン)公試排水量(mトン)水線長m最大幅m吃水m飛行
甲板m
軸馬力速力kt備砲cm飛行機搭載数
鳳翔74709494165186.17158.2
×22.7
300002514×4,
8A×2
15+6
赤城2690034364249298.07190.2
×30.5
1312003120×10,
12A×12
60+0
加賀269003369323029.67.93171.2
×30.5
9100027.520×10,
12A×12
60+0
龍驤800010150175.3920.325.56156.5
×23.0
650002912.7A×1236+12
蒼龍159001880022221.37.62216.9
×26.0
15200034.512.7A×1257+16
飛龍173002016522222.327.74216.9
×27.0
15300034.5912.7A×1257+16
龍鳳133601530021019.586.67185.0
×23.0
5200026.512.7A×824+7
祥鳳1120013100201.43186.64180.0
×23.0
520002812.7A×827+3
瑞鳳1120013100201.43186.64180.0
×23.0
520002812.7A×827+3
千歳1119013600185.9320.87.51180.0
×23.0
568002912.7A×830+0
千代田1119013600185.9320.87.51180.0
×23.0
568002912.7A×830+0
翔鶴2567529800250268.87242.2
×29.0
16000034.212.7A×1672+12
瑞鶴2567529800250268.87242.2
×29.0
16000034.212.7A×1672+12
飛鷹2414027500215.326.78.15210.3
×27.3
5625025.512.7A×1248+5
隼鷹2414027500215.326.78.15210.3
×27.3
5625025.512.7A×1248+5
大鷹1783020000173.722.58172.0
×23.5
252002112A×423+4
雲鷹1783020000173.722.58172.0
×23.5
252002112A×823+4
冲鷹1783020000173.722.58172.0
×23.5
252002112A×823+4
神鷹1750020900189.3625.68.18180.0
×24.5
260002112.7A×827+6
海鷹1360016700159.5921.98.25160.0
×23.0
520002312.7A×824+0
信濃620006806025636.310.31256.0
×40.0
1500002712.7A×1642+5
大鳳293003420025327.79.67257.5
×30.0
16000033.310A×1252+1
伊吹1250014800198.3521.26.31205.0
×23.0
72000298A×427+0
雲龍1715020400223227.76216.9
×27.0
1520003412.7A×1257+8
天城1715020400223227.76216.9
×27.0
1520003412.7A×1257+8
葛城1715020200223227.76216.9
×27.0
1040003212.7A×1257+7
笠置1715020400223227.76216.9
×27.0
1520003412.7A×1257+7
阿蘇1715020200223227.76216.9
×27.0
1040003212.7A×1257+7
生駒1715020450223227.76216.9
×27.0
1520003412.7A×1251+2

項目解説

  • 基準排水量:満載排水量から燃料および予備缶水の重量を差し引いた状態の排水量を指す。
  • 英トン、mトン:1英トン=1.0160469088mトン(メートル法によるトン)
  • 公試排水量:性能テストの際に使用される排水量のこと。大日本帝国海軍では弾薬を満載、燃料と水を2/3搭載した状態とし、昭和以降にはこれを重視した。往路・戦闘・復路で燃料などの消耗物資を1/3ずつ消費するとし、まさに戦闘に臨む直前、往路分の消耗物資が減り戦闘開始前であるため弾薬類は一切消費していない状態を想定したものである。
  • 速力kt:ktはノット。1時間に1海里(1,852m)進むと1ノット。船の速力のみならず海軍機の速度表示もノットで表される。
  • 飛行機搭載数:表示に15+6とあるのは、15機は通常使用する形での搭載数で、+6は機体を分解して倉庫などに保管し常用機が破損したときなどに補充するための補用機を表す。この補用機のシステムは日本海軍独自のものである。
  • 鳳翔のみ公試排水量ではなく常備排水量(弾薬3/4、燃料1/4、水1/2を搭載した状態であり、軍艦が戦闘状態に入っていると想定したもの)を示す。
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