陸上爆撃機(銀河)

銀河は海軍航空本部が空技廠に命じて作らせた数少ない制式機である。独逸空軍の双発急降下爆撃機ユンカースJu88に触発され、 山名正夫中佐、三木忠直少佐を中心に2,000馬力級エンジン「誉」搭載の最初の機体として設計された。

陸上爆撃機(銀河)諸元

陸上爆撃機(銀河)

一一型一六型
エンジン空冷18気筒 中島誉一二型(離昇馬力1,825HP)空冷14気筒 三菱火星二五型(離昇馬力1,850HP/2,600r.p.m 公称馬力1,540HP/5,500m)
最大速度546.3km/h(高度5,900m)522.3km/h(高度5,400m)
航続距離1,920km(正規)5,370km(過荷)1,815km(正規)
全幅22.00m
全長15.00m
全高5.3m
主翼面積55.0㎡
自重7,265kg7,138kg
全備重量10,500kg(過荷=13,500kg)
実用上昇限度9,400m9,560m
武装20mm旋回機銃×2(機首・後部)
爆弾250~500kg×2または800kg×1あるいは800kg魚雷×1
乗員3名

陸上爆撃機(銀河) こぼれ話

陸上爆撃機(銀河)は、ドイツで開発されたユンカースJu88双発急降下爆撃機に刺激された海軍が空技廠に命じて設計させた陸上双発急降下爆撃機である。そもそもなぜ双発機に急降下爆撃の機能を求めるのか不思議でならないが、それは爆撃機好きのヒトラーが発したある言葉によるものだった。ユンカースJu88より以前に開発、活躍していたのが同じユンカースが開発したJu87(シュツーカ)が初期電撃戦で信じられないくらいの活躍をしたため、He111を除いてこれから開発する爆撃機には急降下爆撃性能を備えなければならない、という飛行機の特性や設計を無視したものだった。急降下爆撃機には急降下機動時および爆弾を投下してからの引き起こし時に大きな荷重が主翼にかかるため、主翼および主翼取り付け部は戦闘機に匹敵する荷重倍数で設計される。当然構造重量は重くなるので、重くなった機体を引っ張って戦闘ができる程度の強力なエンジンが必要となる。双発機に急降下機動を求めるとただでさえ機体が大きいところへ持ってきて、構造を強化しなければならないので大きな重量増加が起きてしまう。ドイツではこの命令がとんでもない機体を出現させてしまう。爆弾の搭載量、航続距離から4発機でないと到底満足させることができないのに、その機体にも急降下機動を設計に盛り込まなければならなかった。苦肉の策として、2基のエンジンを並列に置きギアを介して1本のプロペラシャフトを回す双子エンジンを開発し、4発機なのに見た目双発機を開発した。このHe177(グライフ)はその後エンジン火災などのトラブルが続出し、戦闘で撃墜される確率より事故で墜落する確率のほうが高いと言われ、搭乗員のモチベーションは相当低かったようである。

陸上爆撃機(銀河)は中島製の誉エンジンを最初に搭載する機体となったが、試作命令が出たのは昭和15年なので誉エンジンもまだベンチテストに合格していない開発中のエンジンだった。したがって、陸上爆撃機(銀河)は誉エンジンの空中試験も兼ねてのテスト飛行となった。本来新型機の開発は実用中の信頼の置けるエンジンを採用するが、銀河のように機体もエンジンも飛ぶのは初めて、という組み合わせは博打のようなもので失敗する可能性が高い。振動問題に関しても、機体側の艤装が悪いのかエンジン自体の振動が大きいのかわからず、所定の性能が出ない場合、空力設計がまずいのかエンジン出力に偽りがあるのか、はっきりさせるのに時間が掛かりすぎてしまう。あとになって艦上爆撃機と艦上攻撃機の統合機種として開発された流星が出現したことを考えると、急降下機動を要求から除外した純然たる一式陸攻の後継機を開発すべきではなかったかと思う。

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