液冷機と空冷機の比較

液冷エンジンを搭載する機体と空冷エンジンを搭載する機体はどちらが強かったのか、特に戦闘機においては永遠の論争であることは間違いない。ここでは、冷静にそれぞれの長所・短所を挙げて比較し、判断は読者に任せようと思う。

エンジンの生産性

シリンダーを縦に並べてその周りをケースで覆う液冷エンジンのほうが工作は簡単である。空冷エンジンは冷却フィンなどの工数がかさみ生産性は液冷エンジンに較べると落ちる。

ただし、液冷エンジンは冷却器(ラジエーター)を装備しなければならないので、エンジンシステム全体としてみれば空冷エンジンより生産性が高いとは一概に言えない。

エンジンのメンテナンス

エンジン始動に関しては、液冷エンジンは厳冬期でも出撃前に冷却液を温めておけば一発でかかったそうである。燃料噴射装置を持たない空冷エンジンは、どうしても下側のエンジンに濃い混合気が供給される傾向にあり、調整にはコツがいったそうだ。

一方、液冷エンジンはキャブレター、電装部品の他に冷却システムの整備も行わなければならないので、点検項目は空冷エンジンより多かったと思われる。

空力

液冷エンジンはシリンダーを縦に並べるので正面から見たエンジンの幅は空冷エンジンより狭い。長さを抑えるため大馬力の液冷エンジンはシリンダーをV字に配置したものが多かったが、それでも空冷エンジンより幅は狭い。

飛行機の空気から受ける抵抗には有害抗力と誘導抗力があるが、有害抗力の一つである形状抗力は飛行機の前面面積が広いほど大きい。したがって、前面面積を小さくできる液冷エンジン機は空冷エンジン機より抗力を減じることができる。しかし、液冷エンジン機は冷却水を冷やすための冷却器(ラジエーター)を機外に装備する必要があるので、装備位置を十分に検討しないと抗力が増大する恐れがある。

日本陸軍の三式戦「飛燕」やアメリカ陸軍のP-51「マスタング」の冷却器位置は主翼後縁付近に開口部が来るように設置され、抗力の増大を押さえて成功したレイアウトである。

実戦

第二次大戦の欧州戦線において戦闘機の使用法の一つとして、戦闘爆撃機という新ジャンルが試みられた。戦術爆撃に使用する軽爆撃機に、敵の地上放火をかいくぐって任務を達成するためのスピードが求められだした。それではいっそのこと戦闘機に爆弾を積ませて戦術爆撃を行わせ、爆撃後は搭載機銃で地上銃撃をやればよいのでは、という考えから戦闘爆撃機という新任務が課せられることとなる。

この傾向は第二次大戦後の朝鮮戦争において顕著となったが、ここで液冷機は地上からの対空砲火に弱いことが露呈し、次第に姿を消す。致命傷となったのは胴体下面にぶら下がっているラジエーターだった。

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